Cuozzo v. Lee – 米国最高裁判所、クレーム解釈の基準とIPR(当事者系再審査)における上訴について判断を下す

2016年6月20日、米国最高裁判所はCuozzo Speed Techs., LLC. v. Lee事件(579 US Cuozzo v. Lee )に関し、以下の二点について判決を下しました。(1) 米国特許商標庁の再審査機関であるPTAB(特許審判部)でのInter Partes Review: IPR(当事者系レビュー)における適正なクレーム解釈の基準について、ならびに(2) PTABによるIPR開始の決定が上訴可能であるかどうか。一番目の点について最高裁は、現行の最も広義で合理的なクレーム解釈の基準が引続きIPRに適用されることを確認しました。二番目の点については、最高裁はPTABによるIPR開始の決定は、上訴できない、としました。Cuozzo事件の判決はIPRを背景にしていますが、この判決はPTABでの他の付与後異議申立制度にも適用されるでしょう。

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米国パテントエージェントの秘匿特権

昨年秋の私のセミナーでは、弁護士―依頼者間ならびに弁護士が収集した情報(work product)の秘匿特権について、米国パテントエージェントとのコミュニケーションに秘匿特権があるかどうかも含めてお話しました。当時は、この件に関してアメリカ連邦地方裁判所(下級)の間でも意見が分かれていましたが、米国連邦巡回控訴裁判所(特許権を専門とする)は、クイーンズ大学のケース(In re Queens University)においてこの問題を審議し、この判決は初めて、米国においてパテントエージェントは秘匿特権を持ち、依頼者とパテントエージェントとの間での特許審査に係るコミュニケーションに関しては秘匿特権がありうる、としました。しかしながら、連邦巡回控訴裁判所はこの秘匿特権は特許出願審査経過に関するものだけにとどまり、第三者特許の有効性や侵害の問題に関するコミュニケーションに関しては、秘匿特権の範囲に含まれない、ということを明確にしました。 続きを読む

連邦巡回裁判所がAkamai v. Limelight事件において直接侵害の範囲を広げる判決

去年の11月24日アップのブログで、私は最近判決の下った米国最高裁の判決から派生した特許権行使に対抗する新しい武器についてお話しました。これらの判決には、誘発侵害に関するLimelight v. Akamai 判決も含まれています。この判決で、最高裁は米国特許法271条(b)のもとでの特許に関する誘発侵害は、同法271条(a)のもと、だれか単一の個人や団体が直接侵害をおかしていなければ成立しないとしました。最高裁はLimelight社による直接侵害の有無には触れず、引き続き審査を続けるよう、事件を下級審の連邦巡回裁判所(CAFC)に差し戻しました。 続きを読む

USPTO がPTABによる特許発行後の再審査に対する追加のルールを提案

最近、USPTOは米国特許法(AIA)のもと、USPTO特許審判部(PTAB)によって行われる特許発行後の再審査手続き(例:IPR、PGR、CBM)に関する追加のルールを提案しました。下記に詳細を示してありますが、この新しいルールは以下5つの項目-①クレーム解釈 ②特許所有者による予備的回答 ③口頭審理で使用される証拠書類 ④ページ数の上限と単語数の上限 ⑤ PTABに対する誠実義務-に分けられます。特許所有者の予備的回答に関する追加のルールは、手続き開始の申し立てに対し特許所有者が証拠を提出できる権利を与えることにより、特許所有者にメリットを与える意図のもと提案されました。他の新ルールはどちらか一方にメリットを与える意図で提案されたものではありませんが、⑤の誠実義務に関するルールについては、根拠のない主張を持ち出す当事者を制する目的で提案されました。USPTOはこれらの新ルールを最終決定する前の2015年10月19日まで、これらの新ルール案に対する意見を公募しています。 続きを読む

Gilstrap 判事の新しい101条申請手続き

以前の記事でもお伝えしましたが、2014年に米国最高裁の判決が下されたAlice v. CLS Bank事件は、コンピューターを使用する特許クレームの権利行使に多大な影響を与えました。Alice事件では、米国特許法101条35項のもとでは、抽象的アイデアを単に一般的なコンピューターで実装するクレームは特許性がないと結論されました。この判例法を適用し、地裁訴訟において多くの被告がこのようなクレームを無効化することに成功しています。例えば、訴訟の初期の段階で、被告が規則12(b)(6)のもと、訴状却下申請、または規則12(c)のもと、答弁申請を行っています。以前お伝えしたように、米国特許法101条のもと、Alice判決を引用してクレームを無効化する成功率は現在約70%となっています。これらの申請の数が急増するのに対応し、テキサス東部地裁のRodney Gilstrap判事が101条にもとづく申請に関して、新しい手続き方法を定めました。 続きを読む

原告側の弁護士に対する制裁措置

今回の記事も、特許権行使を受けたときの対抗策について書いた第2回目(2014年11月24日アップ)の記事の続編であり、被告が勝利した時、敗訴した原告側に弁護士費用の負担を課すことができる場合についてもう少し詳しくお伝えしたいと思います。第2回の記事で説明しましたように、米国特許法285条にもとづき、「特別なケース」においては敗訴した原告が勝訴した被告の弁護士費用を負担させられる場合があることは前回お話しましたが、今回は連邦法(28 U.S.C.)1927条にもとづき、特許権行使側(原告側)の弁護士が、勝訴した被告の弁護士費用を支払わなければならない場合についてお話します。この例として、Worldwide Home Products, Inc. v. Bed, Bath and Beyond, Inc. 事件を挙げたいと思います。この事件はニューヨーク南部地区で争われ、敗訴した原告側の弁護士が連帯責任として弁護士費用やその他の関連費用を負担せねばならないとの判決が下されました。 続きを読む

パテントトロールを提訴する方法 (全3回:その1)

今回と続く2回の記事は、以前特許権行使を受けたときの対抗策について書いた第2回目(2014年11月24日アップ)の記事の続編です。私達は今回、企業がNPE(パテントトロール)に対し民事訴訟を起こすことのできる訴因となる主張理由をリサーチしました。この記事では、パテントトロールによる特許権行使のターゲットとなった企業が使用することのできる、特許法以外の法律に基づく2種類の訴因をご紹介します。 続きを読む

米国最高裁判決:商標の「Tracking」は陪審が行うべき事実問題と結論 (Hana Financial v. Hana Bank)

米国最高裁は今年、商標の「Tracking」における判断は、事実問題として裁判官ではなく、陪審が行うべきであるとの判決を下しました。商標の「Tracking」とは、商標権者が変更前の商標で獲得した優先権を失うことなく商標を変更できることを指します。「継続した商業印象」が変更前と変更後の商標に存在する場合は、商標権者は新しい商標の使用権を古い商標に「Track」することで保持することができます。 続きを読む

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